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調査結果|第三回コロナ禍における視覚・聴覚障害者の生活実態調査
一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティではこれまで、コロナ禍による視聴覚障害者の生活環境などの変化についてアンケートを実施し、広く社会に発信してきました。
今回は聴覚障害者対象に、急速に増えたオンラインでのコミュニケーションに着目。「会議では聴者メインで話が進められ、内容がわからない」「発言のタイミングがつかめずおいてけぼりになる」などその困難は解消されてないと見受けられました。
一方、「聴者からオンライン会議で『表情がとても良い』『仕草があるので伝えたことがわかりやすい』と言われた」など、手話を日常的に使用し、表情やボディーランゲージが豊かである聴覚障害者だからこそ知りうる、オンラインコミュニケーション活性化へのヒントがあることもわかってきました。この気づきは、聞こえる聞こえないという違いを超えて、今後のオンライン会議・講義へのヒントになるとも感じています。
提案とともに、以下アンケート結果を公表いたします。
第三回
コロナ禍における視覚・聴覚障害者の生活実態調査
および当事者からの社会への提言
(サマリー)
2021年2月2日
一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
【聴覚障害者に関わるアンケート・提案】
■調査概要
コロナ禍でのオンラインコミュニケーションにおける聴覚障害者の課題・困難に関するアンケート
期間:2021年1月21日(木)~1月25日(月)18時
調査方法:WEB googleフォームにて回答
回答者数:111名
回答者属性:会社員105名、学生(大学院生含む)6名 10代1名、20代18名、30代14名、40代46名、50代23名、60代7名、70代~ 2名
全体版データ:3_全体版__第三回 コロナ禍における視覚・聴覚障害者の生活実態調査
■「新しい生活様式」への移行の不便や不安
・変わらず「マスク着用」は最も大きな課題。他項目に関しても大きな変化はなく、変わらず不便や不安を抱えている
■仕事や学習環境の変化への不便・不安
・5月ほどの急激な変化はないが「不便や不安がある」との回答は6割でほぼ横ばい。大きな改善がなされていないとみられる。また、フリーアンサーをみるとオンラインに関する不便が多々見受けられる
■オンラインでのコミュニケーションへの不便・不安
・不便を感じるという回答は7割以上。「だれが・何を話しているかわからない」「情報保障がない」「発言をチャットで打っているものの、伝わっているかわからない」「発言のタイミングがつかみにくい・ずれる」などが上がった。
・さらに、「不安や心配を感じた」と回答した方は7割以上。「相手の反応がわからない」「話に入るタイミングがわからない」「疎外感がある」などの声が上がっている。
■オンラインでのコミュニケーションへのヒント・可能性
・7割近くがオンライン化によりメリットがあったと回答。「移動がなくなった」「資料共有されるようになった」「チャットなどの文字情報の工夫が増えた」ことが多く挙げられている
人によっては上記不便への解決策を見出しており、周りの理解と当事者からの発信により、解決する場合もあることがわかる。要望としては、UDトークや字幕機能などの情報保障のリアルタイム化や精緻化、一般化を求める声が多く見受けられた。
音声のデジタル化により議事録作成が容易になる、グーグルドキュメントで情報共有・シーンによりツールを使いわけるなど障害の有無にかかわらず効率化につながったといった声も見受けられた
・ 表情の豊かさや笑顔について褒められたという声も多数。手を動かすようにしていたら一緒にしてくれるようになった、声だけでない非言語コミュニケーションの豊富さに気付いたなど、聴者にも生かせるコミュニケーション方法であることを当事者が発見しており、自身の持つ文化・特性が聴者に生かせるコミュニケーション方法であることを当事者が発見している。
■コロナ禍での人と人との関わり
・ コロナ禍でも「人のあたたかさ」を感じた人は半数。筆談や指差しに対応してくれたなどコミュニケーションに関わる場面でのエピソードが多く見受けられた
・ 約6割が自分の持つ文化を大切にしたいと回答。手話は飛沫が飛ばないから安全、などの声が見受けられた。一方、手話のわからない聴覚障害者に対する配慮への要望も見向けられる。
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