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代表理事・志村季世恵から、ダイアログを応援くださる皆様へ

代表理事・志村季世恵から、ダイアログを応援くださる皆様へ

10ヶ月ぶりにお便りをしています。
今年の年末はいつもとは様子が異なり、お正月用品がクリスマスグッズと共にお店に並んでいます。昨年まではクリスマスが終わると、瞬く間に鏡餅や和飾り、おせち料理に並び変わり、新年を迎えるための準備に目まぐるしい日本の有り様を感じていましたが、今年は混雑を緩和するための新しい生活様式が垣間見られ、これを機にコロナ収束後もゆったりした気持ちで新年を迎えることができたらと感じます。そうなれば、安心して買い物ができるとダイアログのアテンドたちも話していました。

さて、皆様におかれましては、今年は如何お過ごしでしたでしょうか。もしかしたらご自身や親しい方、お仲間が新型コロナウィルスに感染なさった方もおられたかもしれません。今も、お辛い状態にいらっしゃる方には心からお見舞い申し上げます。
また大切な方を失くした方には心よりお悔やみ申し上げます。

世界中が未曾有の事態となった今、私たちはいのちの大切さ儚さを感じながら生きています。会えない親に思いを馳せ、家族を思う毎日を過ごしたことは、かつてなかったように思います。リアルな関わりが減り不安を抱く方も多く、大人だけでなく子どもたちにも甚大な影響を与えています。

私たちダイアログも、予想を遥かに超えた中で、今夏、東京竹芝にダイアログ・ミュージアム「対話の森」をオープン致しました。多くの皆様からの応援やご支援、スポンサー企業様のお陰でようやく実現できました。この場をお借りして改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

ダイアログ・ミュージアム「対話の森」は鎮守の森のように、皆様とご一緒に作っていきたいという願いを込めています。エントランスには1400名様から寄せられた「対話とは?」の言葉が美しく飾られ、ロゴもその言葉が形となり表現されています。さらには森のクルーと呼ばれるボランティアスタッフの皆さんが参加者をお出迎え。対話の森でお会いできることが何よりうれしいと、笑顔がとびっきり素敵です。

しかし、なぜこのような時期にオープンを?というご質問も多くいただきます。正直にお答えすると、この機会を失えば私たちは既に日本のダイアログを手放す事態にまで追い込まれておりました。緊急事態宣言以降、ダイアログの活動は止まり、収入はありませんでした。しかし障害者を解雇するような悲しいことは決してしたくありません。倒れるなら一歩でも前へ。一歩先は更なる夢の実現に繋がっているはず。私たちは着の身着のままオープンを迎えました。
この中でのモチベーションは、皆様からの応援のお言葉でした。「ダイアログはこのような状況だからこそ必要なのだ」「人と人との関わりを深めることができる、今こそその重要な役割を果たしてほしい」「対話の森を訪れ、心を込めて対話がしたい」そんなお気持ちも寄せていただきました。

「対話の森」にいらして下さった方が、ご体験後に涙をこぼされ私に声をかけてくださったことがありました。その方はコロナ感染者を多く引き受ける大学病院の看護師さんでした。緊迫した病棟で感染者のケアをなさる。しかし外に出ると思いもよらぬ偏見の目。ご実家からは、村八分になるからしばらく帰ってくるなと言われてしまう。3月からずっと人と接触をせず会話もなく、まるで知らない国を彷徨っているような感覚だったと仰っていました。「冷たくカチコチにかたまってしまった私を、ダイアログの体験はまるで魔法のようにその呪縛を解いてくれた。アテンドがそっと私を抱き上げ、湯気のたつお風呂に浸からせてくれたような気持ちだった。参加者同士で無邪気に遊んでいたら人が怖いと怯えていた自分はどこかに消えていました」そのようなお言葉をいただきました。

オープンしてよかったと思うと同時に、このような偏見差別は「誰も取り残さない社会」をモットーに掲げる2030年のSDGs目標の実現からは程遠いスタートだとも感じます。どの時代にも起きてしまう偏見や差別を、もうそろそろやめたい。そしてその実現に向かうチャンスはきています。今だからこそダイアログを頑張ろう、と気持ちを新たにいたしました。

緊急事態宣言以降、日本のダイアログは急速に成長しています。浅草橋と神宮外苑をクローズし、オンラインでの取り組みをスタート。学校に登校できない子どもたちとダークのアテンドをオンライン上で繋ぎ、見えない世界で暮らすアテンドと子どもたちとの交流と知恵の交換をしました。これは現在も拡大し、小学生から大学生までの教育プログラムとして好評を博しております。

また対話の森オープンに際してのアテンド育成・研修もオンラインをメインで行いました。見えない人・聞こえない人がオンラインで習得するには大変な努力を要します。しかし全スタッフがこれにチャレンジをしたのです。講師となってくださった方々に、そして手話通訳の方々にもこの場をお借りして感謝申し上げます。

また、メインプログラムであった「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の暗闇を手放し、新たなチャレンジとして暗闇に明かりを灯す「ダイアログ・イン・ザ・ライト」を開催いたしました。コロナ禍で人々が一番欲している「対話」をキーコンセプトにした世界初のプログラムでしたが、お陰様で大変人気となりました。ダークが戻っても月に一度は暗闇に明かりを灯し対話がしたいと仰る方も。
私たちはダークの再開を、来年3月11日を目標としています。10年前に東北の方々が私たちに教えてくださった「絆」この大切な意味を更に深めていけますように。東北と竹芝の暗闇を繋ぎます。それまでミュージアムが継続できるよう、どうか皆様のお力を貸してください。現在マンスリーサポーターを絶賛募集中です。並びに佐賀県にあるダイアログのNPOにふるさと納税をお願いしています。

■マンスリーサポーター
https://taiwanomori.dialogue.or.jp/news/20200823news/

■ふるさと納税
https://didsaga.dialogue.or.jp/furusatonouzei/

さて、今号のメルマガから、アテンドたちが活躍する形に変わってまいります。先ずは見えないアテンドが聞こえないアテンドにお便りを出す往復書簡がスタートします。このような新しい取り組みを「対話の森」で、そしてメルマガでも感じていただけますと幸いです。
また、「対話の森」にご来場いただくゲストには、マスク着用のお願い、ご体験途中にも手指の消毒をお願いするシーンがございます。医師からの指導を直接受け、エントランス及びサイレンスやダーク内も各回毎に換気・アルコール消毒をし、お迎えしています。
どうぞご安心いただきご体験くださいませ。

皆様のご健康とご多幸をダイアログスタッフと共に心を込めてお祈り申し上げます。

一般社団法人
ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
代表理事 志村季世恵

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